|
テーマ 203 ほめるフィードバックと建設的なフィードバックの
バランスを取る その2
■建設的なフィードバック
部下の方に改善点を伝える建設的なフィードバックを行う際は、
まず日頃の労をねぎらい、仕事の状況をよく聴いて、
あたり前のことでもできているところを認めほめた上で、
上司として指導すべきことを、部下の意見も聴きながら
伝え今後の対策を一緒に検討することが重要です。
建設的なフィードバックを行う場合のポイントとしては
下記のようなことが上げられます。
1.ポジティブで具体的な改善提案を添える
改善点を伝える際は批判的な言葉や否定的な言葉、
抽象的な表現は避け
「今後、ここのところをこのようにするとさらに
良くなると思います」
といったポジティブな改善提案を具体的に添えると
部下は批判されていると思わず前向きに受けとめてくれます。
例えば「昨日のプレゼン分かりづらかった」という
伝え方では部下はプレゼン自体がすべて悪かったのかと思い、
自分はプレゼンが苦手だなどと必要以上に
マイナスの感情を持ってしまいます。
これに対し
「昨日のプレゼンは分かりやすくてとてもよかったです。
ただ〇〇のところは具体的に数値を示した方が
もっと分かりやすかったと思います」
という言い方をすると部下は素直な気持ちで受け止め
「なるほど」と納得し、指摘されたことに感謝し
次回のプレゼンも前向きな気持ちで
取り組むようになります。
2.フィードバックは問題発生直後に行う
建設的なフィードバックはタイミングが重要となります。
特に問題が発生した場合はその直後に行うのが効果的です。
冷静に話せる場所を選び改善すべきところを伝えます。
ただし、感情が高ぶっている場合などは様子をみて
落ち着いてから伝えるようにします。
問題が発生して時間が経ってからのフィードバックは、
上司はずっと自分のことをそのように思っていたのか
などと悪い誤解を部下に与える可能性があります。
3.叱るフィードバックは前向きな言葉で終える
職場では部下を叱らなければならない場面も発生します。
部下との信頼関係を崩すことなく部下を叱るために
必要な留意点としては下記のようなことが上げられます。
・自分の感情をコントロールする
仕事に対する責任感やストレスなどにより必要以上に
感情的にならないよう注意することが必要です。
自分が冷静であることを確認してから部下と話をします。
・部下の話をよく聴く
部下を叱るときの状況としては、部下本人も充分悪いことは
承知しておりそれでもあえて、上司として話さなければ
ならない状況といえます。
まずは、分かっていても叱らなければならない事象に対する
状況を部下からよく聴いて今後の対応策に関する
部下の考えも聴きます。
・日常の仕事を認めながら叱る
今回ミスに対して今までの仕事の全て否定するような叱り方を
してしまうと、部下のモチベーションを大きく
削ぐことになります。
オックスフォード大学のエレーヌ・フォックス教授の研究に、
「人間は、楽観をつかさどる脳と、悲観をつかさどる脳が、
機能分化しており、不安や恐怖などの悲観的感情は、
楽観的な感情の3倍以上の力で、人間の行動を
コントロールする」
というものがあります。また「4褒め1叱り」という
言葉もあるように1つのことを注意するときは、
「4つ褒めてから1つ注意」するのがバランスのよい
注意の仕方とも言われます。
「普段は、きちんと仕事をしてくれているのに今回は、
どうしたんだ」
という切り口で話を進めます。日頃の仕事を認め、
労をねぎらってから、部下の話をよく聴いてみて部下が
自分で気づいていないところを注意するというのが
叱るときの手順となります。
また、「君は努力不足だ」というような人格を否定するような
言い方はせず、今回起きた事実に関してだけ叱るようにします。
・叱るときは別室で叱る
部署全体の気を引き締めようとしたり、自分の権威をみせる
などのため、一人の部下を、他のチーム員の前で叱ると
叱られる部下の方は、プライドが傷つけられ素直な心で、
上司の話は、聴けなくなり今後の部下との信頼関係構築も
難しくなります。
部下を叱るときは、別室で一対一で叱るようにします。
・理詰めで追い詰めず最後は前向きな言葉で終える
人間は感情の動物ですので、自分で悪いとは分かっていても、
最後まで理詰めで言われると謙虚な気持ちになれない
こともあります。「今回は、しかたがないな」とか
「最近は、仕事がたてこんでいたからな」とか、
部下の心を和らげて上げて、今後とも活躍を期待している
などの前向きな言葉で話を終えるようにします。
言葉は体温で伝わるとも言われますが、建設的なフィードバックは、
厳しさ、温かさなど組織の長としての
人間味が試されるときでもあります。事前の準備が重要です。
|